コエンザイムQ10の効果

コエンザイムQ10で心臓機能向上

心臓の機能が衰えている人は、心臓内に含まれるコエンザイムQ10の量が減少している傾向があるといわれています。
もともとコエンザイムQ10は、日本において1974年に「うっ血性心不全」の改善薬として認可され、その治療に用いられていたという歴史があります。
また、細胞内に存在するミトコンドリアのエネルギー産生を助ける働きをしたり、細胞を酸化から守ったりする働きを持ち合わせているのが特徴です。
コエンザイムQ10は、人が生まれてから死ぬまで拍動を続ける心臓に特に多く存在しているため、心臓の機能に深く関わっていると考えられています。
これらのことから、コエンザイムQ10の摂取は、心臓の機能を高めるための効果が見込めるといわれているのです。
この記事では、コエンザイムQ10が心臓機能の改善や向上に有効とされる理由についてご紹介します。

心臓の役割とは

人体の生命維持には、身体の各器官に十分な酸素と栄養が行きわたる必要があります。
必要な酸素と栄養を各器官に運ぶのは血液で、その血液を循環させるポンプの役割を果たすのが心臓です。
心臓は規則的に収縮することにより、全身に血液を送り出す作用を持ちます。
送られた血液が酸素と栄養を全身に運び、さらに全身の各器官から排出された二酸化炭素と老廃物が血液によって再び心臓に戻されるのです。
心臓は一つの臓器ですが、全体が同時に働いているわけではなく、上部の心房と下部の心室はわずかな時間差を置いて収縮しています。
心房が血液を心室に送り込んでから、心室に十分な血液が満たされてはじめて収縮し、肺や全身に血液を送り出します。
双方が協調して収縮することで、全身に血液を効率よく送り出しているわけですが、この連携がうまくおこなわれないだけでも、心臓の機能は約20%減少するといわれています。
血液が十分に循環されないと、人は生命を維持できないため、心臓は血液を送り出すポンプとして非常に重要な働きを担っているわけです。

心不全とは

心不全とは、何らかの原因により心臓のポンプ機能が低下し、全身に十分な血液量の循環ができなくなった状態です。
心不全は、

の2つに大別され、起こる原因や現れる症状、程度の強弱はさまざまです。
心不全は病名ではなく、あくまでも心臓の働きが衰えることによって起きた身体の「状態」を指します。
虚血性心疾患や心筋症、心臓弁膜症などの心疾患や、高血圧により心臓に負担が長年にわたってかかっている場合などでも、心不全の原因と考えられています。

心不全の症状とは

正常な成人の心臓は、1分間におよそ60~80回収縮し血液を送り出していますが、そのポンプ機能に支障が出ると、心臓だけでなく全身にもさまざまな症状が現れます。
その代表的な自覚症状として、

などが挙げられ、機能低下が進行すると息苦しさを覚えることもあります。
上記のような症状は、

の2つに分けて説明されます。
前者の場合では、心臓から送り出される血液量が減るために、疲労感やだるさ、動悸などの症状が現れやすくなります。
また、末梢に血液が届きにくいため、手足や頬・耳たぶなどに冷えを感じやすくなるといいます。
後者の場合は、血液が心臓に戻りにくく、血中の水分が血管から肺にしみ出すようになることで、息切れや息苦しさを生じやすくなります。
身体の各部分にうっ滞が起こるとむくみが起こりやすくなり、特に下肢に生じやすいのが特徴です。
こうした症状の現れ方は、心不全の症状の度合いにより異なるわけです。

コエンザイムQ10のポンプ機能活性作用

コエンザイムQ10は、ミトコンドリア内でのATP(アデノシン三リン酸)というエネルギーの生産に不可欠な補酵素の一つです。
特に心臓など重要な器官に多く存在していて、ポンプ機能の衰えた心臓の細胞を活性化させ、再び活力を取り戻させる働きがあると考えられています。
中でも「還元型」のコエンザイムQ10は、人の体内に存在するコエンザイムQ10と構造がよく似ているために吸収率が高く、摂取後はそのままダイレクトに生体に利用できるというメリットがあります。
酸化型のコエンザイムQ10の摂取では効果が見られなかった慢性心不全の患者に、還元型を摂取させた結果、症状が劇的に改善されたという報告がなされています。
具体的には、患者の血中のコエンザイムQ10濃度はもとの約4倍に上昇していたことから、還元型コエンザイムQ10が心臓の機能を回復させる効果を発揮すると考えられているのです。
もともとコエンザイムQ10は「うっ血性心不全」の治療薬として扱われてきたとはいえ、その摂取が心不全の原因となる全ての心疾患を治すというわけではありません。
現在ではコエンザイムQ10が心不全の治療に用いられることはありませんが、摂取することによって心臓のポンプ機能を高め、心不全を予防する効果が期待できるのです。

参考URL
https://www.venusmagazine.org/about.html

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