コエンザイムQ10の効果

スタチンとコエンザイムQ10の関係

コエンザイムQ10の作用に影響を与える医薬品には、「スタチン」が挙げられます。
スタチン製剤はコレステロール降下剤として、世界中で使用されている薬です。
その作用の中には、血中のコエンザイムQ10の濃度を低下させるというものもあります。
スタチン製剤の服用によりコエンザイムQ10が不足すると、人体に影響が及ぶとも可能性あるのです。
この記事では、スタチンとコエンザイムQ10の関係についてご紹介します。

スタチンとは

スタチンとは、血液中のコレステロール値を下げるための医薬品の総称です。
HMG-CoA(ヒドロキシメチルグルタリルコエンザイムA)還元酵素の働きを阻害し、血中のコレステロールを強力に低下させるという働きがあり、高脂血症の治療薬として広く用いられています。

コレステロールは主に肝臓内で合成されています。
その過程の1つにHMG-CoAという物質が還元され、メバロン酸に変換されるという段階があります。
スタチン製剤はこの過程に必要なHMG-CoA還元酵素を阻害することで、コレステロールの合成を防ぐのです。
これにより肝臓でのコレステロール値が低下し、肝臓は血中から補おうとするため、血中のコレステロールが減少するわけです。

スタチンがコエンザイムQ10に与える影響とは

実は、スタチン製剤はコレステロールだけでなく、コエンザイムQ10も減少させてしまうのです。
HMG-CoA還元酵素は、コエンザイムQ10が合成される際にも必要となる成分で、コエンザイムQ10が合成される経路は、途中までコレステロールの合成経路と共通しています。
そのため、スタチン製剤がHMG-CoAの還元を阻害することで、コエンザイムQ10の合成も妨げられてしまうわけです。

スタチンのもつ副作用とは

スタチン製剤はコレステロールだけでなく、コレステロールに近い成分のビタミンD、性ホルモン全般やコルチゾンなどにも影響を与えるといわれています。

さらに、スタチン製剤にはさまざまな副作用があることが知られています。

などの副作用が、研究によって証明されています。
スタチン製剤の副作用としてもっとも知られているのは、筋肉障害です。
中でも重篤な副作用として、横紋筋融解症が挙げられます。
横紋筋融解症とは、骨格筋の細胞が溶け、壊死により筋肉の成分ミオグロビンが血中へ流出した疾患のことで、最悪の場合、死に至ることもあります。
その他には、記憶や認知障害、血糖値の上昇や腱の障害など、さまざまなトラブルを招くとされています。

スタチンとコエンザイムQ10の関係性

コエンザイムQ10は、電子伝達系における補酵素として、体内のエネルギー単位である「ATP(アデノシン三リン酸)」の生成に関わっています。
心臓や肝臓など、多くのエネルギーを要する器官が正常に機能するには、さらに多くのコエンザイムQ10が必要です。

スタチン製剤がコエンザイムQ10を減少させることから、欧米の医療機関ではこの2つを併用しているのが一般的です。
スタチン製剤の服用中にコエンザイムQ10を補わないでいると、体内の量が不足し、健康に深刻な影響を与えてしまいます。
体内のコエンザイムQ10の不足が進むと、疲労感や筋肉痛などを招く場合があり、コエンザイムQ10の不足により体内の抗酸化作用も低下することにつながります。

コエンザイムQ10とスタチン製剤の併用

体内でコエンザイムQ10が不足すると、倦怠感や心機能の低下が起こる可能性があります。
そのため、スタチン製剤を摂取している場合は、副作用軽減や補給の目的で、コエンザイムQ10との併用をおすすめします。
併用する場合の推奨摂取量は、以下のとおりです。

また、摂取るコエンザイムQ10は「還元型」をおすすめします。
コエンザイムQ10の種類の中でも、もっとも体内への吸収率が高いためです。
その分高価になりがちですが、スタチン製剤の服用で減少した分を十分に補うには、吸収率の高さにすぐれた還元型が適しているといえます。

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