コエンザイムQ10の効果

コエンザイムQ10とチロシン

コエンザイムQ10と関わりの深い物質には、「チロシン」が挙げられます。
アミノ酸でもあるチロシンは、補酵素である「アセチルCoA(アセチルコエンザイムA)」と体内で結びつき、コエンザイムQ10を生成します。
そもそもコエンザイムQ10は体内でも合成される物質ですが、チロシンなどの物質によって作られるものでもあるのです。
この記事では、コエンザイムQ10の原料ともいえるチロシンについてご紹介します。

チロシンとは

「チロシン」とは体内で合成できる非必須アミノ酸の一つで、脳の意欲や興奮を司るドーパミンやノルアドレナリンなどの原料となります。
チロシンの量が十分に存在すると、これらの神経伝達物質の機能が促され、抑うつ症状の改善や、ストレスの軽減といった効果が期待できるのです。
また、細胞の代謝や自律神経の調整に関わる甲状腺ホルモンや、白髪予防や皮膚細胞のガン化を抑える働きのあるメラニン色素の原料ともなります。

チロシンが不足したときの症状とは

チロシンが不足すると、チロシンが原料となって合成される神経伝達物質や甲状腺ホルモン、メラニン色素などの生成が滞ってしまいます。
その影響によって起こりやすい症状には、気分の落ち込みや意欲の減退が挙げられます。
ドーパミンやノルアドレナリンなどの脳内の神経伝達物質の分泌が減るため、気分の落ち込みや意欲の減退起こると考えられています。
また、成長期の乳幼児にチロシンが不足すると、甲状腺機能低下症の原因となる可能性もあります。
成長を促す成長ホルモンや甲状腺ホルモンの分泌が低下し、発達や成長が阻害される要因になるといわれています。
原因のはっきりしない疲労感が長期にわたって現れる、「慢性疲労症候群」を招く場合もあります。
この症状には、チロシンやチロシンを原料とする物質が関わっていると考えられているのです。
そのほか、ストレスによる副腎の疲労や甲状腺ホルモンの過剰な分泌が症状の原因と考えられています。

チロシンの摂取目安量とは

WHOによるチロシンの推奨摂取量は、成人の場合体重1kgあたり25mgが目安となっています。
チロシンが豊富に含まれるのは、肉類や大豆などの豆類、乳製品といったタンパク質の多い食品です。
また、マグロなどの赤身魚やしらす干し、たらこなどの魚介類にも多く含まれ、基本的にバランスのよい食生活を心がけていれば不足しにくい成分です。

チロシンはサプリメントでも摂取できますが、日本ではあまり販売されていないのが現状です。

チロシンの過剰摂取による副作用

チロシンは体内で合成されるアミノ酸のため、過剰摂取による重篤な副作用の報告はされていません。
ただし過剰に摂取すると、メラニン色素が必要以上に合成され、シミやそばかすが発生しやすくなったり、肝臓や腎臓などの負担を増やしたり、血圧の上昇を招いたりする恐れがあります。
サプリメントなどでの推奨目安量を超えた過剰摂取には、十分注意が必要といえます。

チロシンでコエンザイムQ10は増えるのか

チロシンはコエンザイムQ10の原料ともなる物質です。
そのため、摂取すれば体内でのコエンザイムQ10の合成自体はできると考えられています。
しかしコエンザイムQ10は、ストレスや加齢の影響によって合成量が減少するという性質があります。
20代前半で合成のピークを迎えるのを境に、年齢を重ねるにつれ、生成する力が衰えていくのです。
生成力が衰えた状態でチロシンを摂取し、コエンザイムQ10の量を増やそうとしても、あまり意味がないといえます。
そこでコエンザイムQ10の吸収率を上げるには、以下の2つの方法をおすすめします。
1つは、吸収率の高い「還元型」のコエンザイムQ10を選ぶことです。
還元型コエンザイムQ10とは、人体に存在するコエンザイムQ10と構造が似ているものを指します。
体内での変換の必要がなく、そのまま活用できるのが大きな特徴です。
ただし、成分の還元状態を保つのが難しく高い技術を必要とするため、高価になりがちなのがデメリットといえます。
その分非常に高い吸収率が期待できるため、コエンザイムQ10を効率よく摂取することが見込めるのです。
もう1つは、還元型コエンザイムQ10を食後に摂取するか、脂質と同時に摂る方法です。
コエンザイムQ10は脂溶性の物質のため、油に溶けやすいという性質があります。
食事で脂質を摂りこんだあとか、脂肪分の多い食材と一緒に摂ることで、吸収率の向上が期待できるのです。

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